top of page
遠い風景にあるようで 現実の2020年に鳴っている音。この手で触れたくなる言葉、人間性を持った一枚。
この作品はpollyというバンドのこれまでの結晶であり、これからの冒頭である。
自主レーベル “14HOUSE.” 設立後、初のアルバム。
 polly 2nd Album
「Four For Fourteen」
 2020.11.04(wed) Release
収録曲.png
FFF_jk.jpg
14HS-0014 <CD>¥2,500+tax <DL>¥1,800

Movie

ヒカリ
polly_ヒカリ_jk.jpg
2020.10.14 先行配信リリース
作詞・作曲 越雲龍馬

脆い鞄を背負いながら
救いの声が響く方に
汗を枯らして歩いていた
地図も持たずに
どこかもわからずに

愛せなかった幼き僕を
愛したいんだ
いまの僕の願い

 
同じ鞄を背負いながら
あなたは僕のすぐ隣で
涙を飲んで笑ったんだ
あなたは僕の光
いまの僕の光

夢を見ていた。
幼き僕の影を照らした
あなたは僕の光


声をなくしたら僕は僕じゃなくなる
それでもずっとこの場所にいたいと願った


何度も呼んだ
声をみつけた
命を宿した

あなたは僕の光
残火
polly_残火_jk.jpg
2020.09.09 先行配信リリース
作詞・作曲 越雲龍馬

弱者に向けた愛は
殺意に似た偽善か
ナルシズムに溺れた
厚化粧の自愛だ

人は何故に群がりながら同じ絵を描きたがる
暗がりの残火

人は何故に群がりながら同じ孤独を得たがる
熟れた哀の肥大

自己否定のモラルに
支えられた孤独は
誰かの真似で魅せた
間抜け面の私欲だ

人は何故に群がりながら脆いものに毒を撒く
匿名の残火

人は何故に群がりながら同じ傷を舐めたがる
ほころびの際

人は何故に生きてるだけじゃ物足りず
手にしたがる 永遠も愛も

人は何故に言葉を持ち心を持ち別れを知り
涙を流すのか

Liner notes

pollyを初めて取材したのはいつだったっけ。このライナーを書くにあたって確認してみたら2016年のことだった。フロントマンにしてソングライティングも手がける中心人物・越雲龍馬とcinema staff・飯田瑞規の対談。そのとき飯田が越雲を「良い意味で性格悪くて好き」と評したのをよく憶えている。

越雲とはそれ以降、リリースがあったりライブを観にいくたびに、色々な話をしてきた。身の回りのバンドに対して棘を剥き出していた時期もあったし、インタビューが人生相談みたいになったこともあったし、何故か、恋愛話までしてくれたこともあった。彼にとっては20代の前半から後半へと向かう数年間だ。そりゃあ色々ある。精神面も価値観も人との付き合い方も、音楽やバンドとの向き合い方にも、様々な変化が起こって当然だ。でも、その中で一貫している部分……pollyの魅力にも直結してくるそれは、越雲が己の美学に忠実であり続けていることだと僕は思う。

「こういうものが好きだ/嫌いだ」「自分はこうありたい/こうはなりたくない」。バンドを続ける中で……というかおそらくロックバンドに魅了されたその日からずっと、音楽面においても発言や立ち振る舞いにおいても、彼はあらゆる面で自らの美学に忠実にジャッジを下しながら進んできた。だからこそ、かつてはそこが相容れない相手をどうにも許せなかったり、あえて観客と距離をとったライブをしていたこともあった。美学を抱いて生きるということは理想を高く持つことでもあるから、理想と現在地とのギャップに思い悩んだりもするし、それによって遠回りもした。

それでも越雲は、音楽家として/人間としての成長や経年による嗜好の変化はあれど、ずっと「柄じゃないこと」「かっこ悪いと思うこと」には徹底して背を向けてきた人なのである。「良い意味で性格悪くて好き」というのは、きっとその不器用で誇り高い“譲らなさ”に向けられた言葉だったんだ。

そして、『Four For Fourteen』と題された最新アルバム。越雲およびpollyの貫く美学が遂に実を結ぼうとしている。

音の感触としては、これまでと全く違ったアプローチをしているわけではなく、同世代や同界隈のバンドとはやはり一線を画すもの。ただ、持ち味である響きの美しさがより一層感じられるようになり、THE NOVEMBERS・小林祐介との共作で作り上げた前作『FLOWERS』から顕著な、音や言葉に内包されたぬくもりや光も深まっている。

一方で、久々に登場する怜悧でささくれ立ったアプローチや、合間のインストゥルメンタルは良いアクセントとなり、ほとんど全編にわたってファルセットで歌唱していた過去作と比べて地声に近いトーンで歌う割合が多いせいか、よりナチュラルになった印象も強い。結果、これまでシューゲイザーの系譜で語られがちだった彼らのサウンドが、今作ではそれをあくまで一つの要素として、もっと間口の広いオルタナティヴ/インディロックとして聴こえてくる。

シューゲイザーだけでなく、ドリームポップやニューウェイヴ、ポストパンクといった洋楽のエッセンス。より根底に染み付いているであろう邦楽のギターロックやポップス、もっと言えば童謡や唱歌に通じる耳馴染みの良いメロディ。これまでに触れたり実際に取り組んできたあらゆる音楽からの影響と、積み上げてきた歴史と経験を、音楽性を歪めることなくブレンドして落とし込んだ結果、『Four For Fourteen』は、これまでよりずっと多くの人に受け入れられるだけのポテンシャルを秘めた傑作になっている。

もうひとつ。「狂おしい」「知らない」「刹那」「言葉は風船」と、実に4曲もの既発曲をリアレンジして再録しているのも面白い。ベスト盤や企画盤でもない限りは珍しい試みだが、リリース済みの曲を再解釈・再構築するという決断も今の音に自信を持てているからこそ。「大事な曲たちを今ならもっとカッコ良くできるのだから、もう一度世に問わずにはいられない」という妥協のない欲求は、つまり“譲らない”姿勢の表れでもあるだろう。

「ベスト盤でもない限り」と書いたが、たしかに『Four For Fourteen』はシングル・コレクションの類ではない最新のオリジナル・アルバムだ。ただ、己の美学と技量とポップネスとを高次元で両立しながら、いま出せる最良の音を納得のクオリティで収めた、自己ベストを大幅に更新する一枚であると同時に、これを聴けばpollyが「何を良しとして、どんな音を鳴らすバンドなのか」がちゃんと伝わる作品でもある。そう考えれば、“polly初のベスト盤”くらいに捉えてもらっても差し支えないかもしれない。

文=風間大洋


 

Interview

polly_koshikumo.jpg

フロントマンでありコンポーザーである

越雲龍馬の単独インタビュー。

彼の視点を通し、前作のリリースとツアー

からほどなくして訪れたコロナ禍、

レーベル設立、アルバムの制作と、

この1年に起きたこととその心境を振り返る。


取材・文=風間大洋

撮影=Hideya Ishima

Live

polly one man 「Fourteen House」

2021.01.31(sun)

渋谷WWW

bottom of page